
最近、「I’m donut?」のニューヨーク進出の話がTV番組で取り上げられていましたが、昨年、東京に出張した際に表参道のお店に並んで話題の「生ドーナツ」を購入してみました。
「ブリオッシュ生地を揚げてみたところ、ふわふわの触感の新しいドーナツができた」とオーナーの平子さんは番組の中で語っていましたが、ぜひ食べてみたいと思い、以前、原宿店の開店前に行ったことがあるのですが、すごい行列ができていて一度あきらめたことがあります。
ネット情報では、「都内の店舗で一番並ぶ時間が短い」とのことで、表参道店に行ってみましたが、確かに30分ほどは並びましたが、原宿に比べれば比較的早く購入できました。
購入した商品を福井に持ち帰り翌日食べたのですが、ふわふわ感が残りたいへん美味しくいただきました。
平子さんは元々イタリア料理のシェフで、福岡でパン店をスタートに、生ドーナツ店やカフェなどへの幅を広げてきていますが、料理人という原点があって、いろいろな商品開発への挑戦も行ってきたのでしょうし、お店毎にオリジナル商品を作り、そこへ行かないと買えないものがあることで、来店動機づくりになっていると感じました。
スタッフは多く必要ですが、注文を受けてから、クリームを注入したり、総菜等を中に入れたりといったお店での手作り感・ライブ感も大切にしていることが、並んでも買いたいという気持ちを起こさせるのかも知れません(これは東京特有なのかも知れませんが)。
注文方法も、予め印刷された注文用紙がバインダーに挟まれていて、並んで待っている間に個数を記入するだけの簡単でかつ注文を聞き間違えない方法が取られていて、これも行列を早く捌く方法として考えられているなと感じました。
また、価格帯も、「プレーン」が220円なっていて、10種類ある表参道店のメニューの中で最も高い「シュトーレン」が520円、多くの商品が300円台となっていて手が出しやすい価格帯と、来店の度に新しいメニューを購入してみようと思わせる幅に収めていて、ちゃんと材料費や手間代を考えた価格設定になっているように思います。高価格帯の商品を置くことで、中価格帯の商品にも手が出やすくなり、プラス1個、また1個と購入個数を増やすことにもつながっているのではないかと思います。
表参道店に並んだのは、平日のお昼前の時間帯でしたが、生ハムが使われた商品は既に売り切れていて、人気の高さを感じるとともに、「売り切れ」が次の来店動機にもつながっているのではないかとも感じました。
別の機会に、「生ドーナツ」と銘打って販売されていた違うお店の商品を購入してみましたが、まったく異なっていて、油が強く感じたりふわふわ感がなかったりと、商品開発力の差も大きな成功要素であることを実感しました。
今年のゴールデンウィーク後にも東京に行く機会があり、「I’m donut?」の系列で新宿区の神楽坂に新しくベーカリー・カフェ「dacō?」がオープンしたので覗いてみました。
こちらは焼き立てパンと生ドーナツを揃えたベーカリー・カフェとなっていて、平日のお昼前の時間でしたが、カフェは若者グループや女性で満席に近く、やむなく生ドーナツ数個をテイクアウトすることにしました。
パンのメニューも塩パンや食パンなどのシンプルなものから、ハード系の小ぶりなパンにチーズやハムなどを挟んだサンドや目玉焼きの乗ったハンバーガー風など幅広い商品が揃えられ、値段的にも300円程のものが中心で、カフェとしても昼食場所としても使えるような品揃えとなっていました。
昼食用のパンメニューとおやつ用の生ドーナツを一緒に買え、かつ店内でも食べられるという複合的な店舗となっている上に、店内で焼いたり加工したりする様子が目の前で見られるライブ感も、お客様を飽きさせない工夫がされていると感心しました。
普通のパン店なら商品棚と加工場所がアクリル板などで仕切られていることが多く、若干ライブ感も薄れるような印象でしたが、このお店では仕切りをなくすことで、店内も広く感じることができ、商品の鮮度も高く見せることができているようです。
1つ1つの商品づくりへのこだわり、商品を提供するお店づくりや演出へのこだわり、商品を購入していただく際のお客様の利便性とお店の効率化を両立させる工夫など、オーナーのこだわりを強く感じることができるお店で、まさに「生(ライブ)」を大切にしていることを感じる体験でした。
-
ビルの1階の小さなスペースを使った表参道店 -
注文を受けたドーナツを作るスタッフ -
表参道店では注文票に個数を記入 -
カフェスペースの席が空くのを待つ女性グループも -
中の厨房ではパンを焼く姿も見られライブ感が高い